26人が本棚に入れています
本棚に追加
音楽室を出て教室に向かっている途中、外山はアキラのことが好きなのだろうかと考えた。そしてすぐにその考えを打ち消した。
外山はアキラに憧れている。それは間違いないが、ほんの数分の会話で恋愛感情の有無を見極められるほど鋭くはない。
「唐木田くん。何か考え事?」
気がつくと、僕はアキラの存在を忘れてズンズンと歩いていた。
「あ、ごめん。すごく速く歩いてた」
「それは気にしないけど…。ねえ、アキラ、でいいよ」
「え?」
「だから、名前。名字じゃなくて」
「あぁ。じゃあ……アキラ」
アキラは満足気に笑った。
「僕のこともショウでいいよ」
「ショウくん」
「うん」
最初のコメントを投稿しよう!