プロローグ

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 この時期の転校生は別に珍しくもないし、この高校にはそこまで容姿に執着する生徒もいない。そう、話題になる理由は別にある。  この高校は県内一の進学校として知られていて、全国的にもそこそこ名が通っている。そのため転入試験もそれなりに面倒なはずで、わざわざこの高校を選んで転校してきた人がいるとは今まで聞いたことがなかったのだ。  チャイムがなり、中溝が教室に入ってくる。  「おはようございます。このクラスの担任になった中溝です。今まで関わりのなかった人も多いと思いますが、これから一年間よろしくお願いします」  中溝は一瞬視線を廊下に向けてから言葉を続けた。  「僕の挨拶はそこそこにして。皆さんは転校生の方が気になっているんじゃないかな。高峯くん、入って」
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