プロローグ

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 今度は一人の男子生徒が教室に入ってきた。くっきりとした目にサラサラの前髪が少しだけかかっている。華奢な体型で、確かに育ちの良さそうなハンサムだ。  「高峯(たかみね)アキラです。父の転勤でこの土地に越してきました。よろしくお願いします」  随分あっさりとした挨拶をして、彼は教室を見渡すように視線を動かす。  目が合った。  微笑まれた気がしたが、皆は気がついていないらしい。僕は目を逸らしそうになるのをなんとか堪える。  ―――それが僕と彼のだった。
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