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家の事情ってやつで、俺は小4から祖母の家で暮らしている。別に両親がいないとか、仲が悪いとかではない。ただ、仕事の関係で一緒に暮らす事が難しい。それだけだ。
元々は母さんの実家だ。怖いじいちゃんは俺が小5の時に亡くなった。そこからは、昔ながらの日本家屋に、優しいばあちゃんとの2人暮らし。何不自由の無い生活をさせて貰っている。
「秀人!遅かったね!おかえり!」
「あぁ。ただいま・・って何さも当たり前に部屋にいんのお前!」
こいつは赤澤友紀。同じ歳で隣人だ。引越して来た日以来、ずっとこんな調子なんだ。元々、うちの祖父母と仲が良かったのもあって、まるで我が家の様に出入りしやがって!
「いい加減その突っ込み飽きたぁ。で・・どうします?ご飯にする?それとも・・私?」
寝転んで、制服のスカートを摘んで持ち上げながら顔を赤らめ、瞳をウルウルさせ、そう言う。
「それこそ飽きた。どうせだからもっとめくって、ついでにブラウス半分脱ぐくらいやってくれ」
「ぷー!秀人のすけべ!変態!」
「いいから。帰れって。勉強すんだから」
「いいよ気にしないで。ゲームしてるから」
「だーかーらー!邪魔なんだって。気が散る」
「ヘッドホンするからぁ。許して。ねっ」
短めのポニーテールを振り振りさせながら、ウィンク+お願いポーズ。何千回見たかわからん。全然、萌えないんだよ。もっとこうバリエーションをだな!
「あぁ!わーったよ。静かにしてろよ」
「やた!ありがと!」
学校ではクラスも違うし、こいつは昔から友達が多い。俺みたいな陰キャのブサ男になんぞ、話し掛けた日には変な噂を立てられてしまうだろう。だからほとんど話した事はない。
少ないとは言え、男もいるんだ。モテるだろうし、彼氏作ればいいのに。こんな男の家に入り浸りだなんて知れたら・・。
「ねぇ秀人」
友紀がゲームをしながら言った。
「ん?なんだ」
「秀人ってさ。好きな子いんの?」
なんだいきなり。気持ち悪い。
「いねーよ。いても言わねーよ」
「何それ!?言いなさいよ!!」
いきなり勢いよく振り返って、食い気味に顔を近づけて言った。
「ちょ、顔近い!いないから!そんなん!」
「ほんとに!?ほんと!?」
顔が真っ赤だ。今にも泣きそうな顔をしてやがる。
何だよいきなり・・
「ほんとだって!ほら離れなさい!」
「ぷー!そーゆーの、ちゃんと話してよね!」
はぁ・・よくわからん。
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