鈍感な俺だけど恋できますか

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 さすがに10月にもなると、朝晩は冷えるな。女子には夏服と冬服があるのに、男子には年中同じ服しかないって、今の時代だと差別だ!ってどっかの弁護士が騒ぎ出すぞ。  朝の登校は静かでいい。ばあちゃん手作りのおにぎりを持ち、穏やかな気分で家を出る。駅まで10分の道のりにも、もう慣れた。この街は好きだ。高い建物など無いし、コンビニも家から徒歩圏内ギリギリにしかないが。  周りには同じ高校の生徒も友紀しかいない。街に二つしかない高校のうち、一つがほぼ女子校なんだ。普通の男子は普通の学校を選ぶだろう。  電車も30分に1本だ。乗り遅れたら遅刻。恐ろしい。それも単線だ。1両編成だ。だが、座れてしまうのだ。いい街だろう?  海沿いを走る電車の車窓から、今日も一面のブルーオーシャンが見渡せる。ブルーオーシャンだ。乗車時間は、たった一駅4分だけなんだが。  電車を降り、学校までは徒歩15分。周りは女子、女子、女子、男子、女子だ。何て贅沢なんだ。人生でこんなにも女子高生を、間近で見られる時間はそうないだろう。  駅を出ようとした時だった。後ろから声を掛けられた。  「あの・・すいません。ちょっとだけお時間いいですか?」  誰だ?見た事がない。うちの制服だが。しかし、全身が震えるほど可愛い・・。澄んだ瞳、少し赤みがかった艶々の長い髪、柔らかそうな唇・・。それに丁度良い胸の膨らみ、膝上5cmのジャストサイズなスカート丈、内股で、ローファーは茶色!! なんだこの子はぁぁぁ!!天使かよぉぉぉ!! 「あっ・・はい!なんでございますか?」 思わず日本語がおかしくなってしまった。 「あ、あの。突然、すいません。私、昨日引っ越してきて、今日から学校に行くんですけど・・ちょっと勇気が出なくて。あの、学校までご一緒させて頂く訳にはいかないでしょうか・・」 ぐはっ・・うそ・・だろ。こんな事ある? なんで俺??ドッキリか!?カメラどこー!? やめろよこういうの!引っかからないやついねーだろ!きたねーよ!! 「あの・・大丈夫ですか?ご迷惑でしたら」 「いやいやいや!!ご迷惑だなんて!是非!地獄だろうと、お供させて頂きます。喜んで」 「やった!ありがとうございます!宜しくお願いしますね。私、羽山奈々って言います。一年生です」 「こちらこそっ!宜しくお願いします。僕は、山城秀人です。同じく一年生です!」 「秀人さん!かっこいいお名前ですね」 「あ、ありがとうございます!じゃ、じゃぁ行きましょうか!羽山さん!」 ぐおーーー!!こんなんいいの?まじで?? 超ウィザード級美少女と一緒に登校!?俺が!? この半年、クラスの女子数名と、いまだに会話すら出来てない俺が?? 「海がとても綺麗・・。私、海大好きなんです!高校からも海が見渡せるって聞いて、凄く嬉しいです」 そう言いながら、海の方を見つめる羽山さんの、吸い込まれそうな碧い瞳と、優しく微笑む唇に思わず息を呑んだ。 「秀人さんは何組なんですか?」 「えっ!あっ!三組です」 「あらっ同じクラスですね!良かったぁ!お友達になってくださいね!」 まじかよー!!何か昨日、モブが転校してきたばっかだよねうちのクラス??羽山さんも!? 「良かった!是非!仲良くして頂ければ!」 「ふふっ硬いですよ秀人さん!あっ私の事は、奈々って呼んでくださいね」 奈々・・奈々。えっ奈々って呼んでいいんすか?? それってもう彼カノじゃね?お付き合いしてる2人の証じゃね?秀人、奈々って呼び合うの?こんな可愛い子を俺が名前で呼んでいいの!? 「あっ・・な、な、奈々・・」 「はい!何ですか??秀人さん!」
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