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頭が真っ白だ。夢のような時間だった。生まれてきて良かった。ほんとにこの学校を選んでよかった。
奈々・・奈々・・奈々ぁぁぁ!!
「何・・?どうしたの?魂抜けたみたいな」
奈々は校門に入った後、職員室に行かなきゃとそこで夢の時間は終わりを告げてしまった。だが、去り際に
「ありがと秀人くん!また後でね!」
そう言いながら、笑顔で手を振って小走りで駆け出した。あぁ・・可愛い過ぎる・・。
「おーい。大丈夫ですかー?もしもーし」
なんか周りがうるさいな。人が幸せなひと時を思い出して、甘美な世界に浸っているんだ。放っといてくれ。
「秀人!秀人!しっかりしてよ!」
「・・なんだ。モブの神無月か」
「だ、誰がモブよ!!どうしたの?ボーっとして」
「天使っているんだなってさ・・思って」
「はぁ?何それ?ずっと目の前にいるじゃん!」
そういや奈々はどこに座るんだ?空いてる席は・・
「ちょっと!何無視してんのよっ!」
あぁ・・窓際の前から2番目か。ちょっと遠いが、ここからなら背中をずっと見てられるな・・もう!幸せじゃねーか!もう!
「な、何か今日は特別変っ・・きもいっ!」
「はーい!席つけー!今日も!転校生だ!男子諸君!良かったなー!超ウィザード級美女だぞ!さっ入って!」
おっお・・おーーー!!奈々ーーー!!
「みなさん初めまして!羽山奈々です!宜しくお願いします」
見よ!あの女神具合を!見よ!あの背中に見える天使の翅を!きたぁぁぁ!!
「宜しくお願いします!ようこそ3組へ!!」
・・あれ
しまった。つい・・。
俺は立ち上がって叫んでいた。奈々を始め、クラス中の視線が俺に集まり、空気が固まった。しかし
「ふふっ秀人さん!お願いしますね!」
奈々のその一言でクラスが笑いと響めきに包まれる。秀人さん??みんなそう思ったに違いない。
しかし、俺はもう夢の中だ。脳が溶けそうだ。もうダメだ。奈々奈々奈々奈々奈々奈々奈々奈々・・
ななあぁぁぁぁ!!
「何よ・・秀人くんって・・。何者なのあの子」
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