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「羽山・・奈々・・」
「秀人くんって言ったの?いきなり?」
「知り合いだったとか?でも・・転校生と?」
「わかんないけど・・秀人が朝から変だった訳が分かった。あの子が転校してくる事、分かってたんだよきっと」
ここは一年の教室がある、校舎一階の一番端にある空き部屋。私達、4人の溜まり場。通称、ヨンタマ。
昼でも薄暗く、少しホコリっぽくて、ほとんど誰も近寄らない。ここがこの学校で、一番安全に秘密会議を開催するにうってつけなのだ。
「私達がこの半年・・どれだけ頑張って下の名前で呼べる様になったと・・」
凛がワナワナと身体を震わせている。
「私はずっと秀人って言ってるけどねー。でも・・確かに強敵かも知れないその子」
友紀がプルプル腕を握りしめる。
「こうしてる間にも、仲良くお話ししてたりするじゃ!!邪魔しなきゃ!!」
千尋が教室が気になりソワソワし始める。
「待ちなさい。ここで動いたら今までの苦労が台無しよ。山城は鈍感馬鹿だし、そう簡単に落ちたりしないって。でも・・心配っちゃ心配だけど・・」
みちるが両手の人差し指をツンツンし出す。
そう。何を隠そう、彼女達は(非公認)山城秀人攻略委員会のメンバーである。発起人は、秀人は気付いていないが、実は幼なじみの友紀。
委員長は、秀人は気付いていないが、同じクラスで秀人を影から見守り続ける千尋。
副委員長は、秀人は気付いていないが、ぼっち飯になる事から救い続けるみちる。
書記は、秀人はもちろん気付いていないが、美少女ゲーなら、完璧メインヒロインフラグが立ちまくりの凛。
秀人に気付いて貰えない四人が、いつの間にか繋がり、硬い掟を結んで今日に至る。
【(非公認)山城秀人攻略委員会 鉄の掟】
壱、抜けがけしない(特に友紀)
弍、過度のエロ仕掛け禁忌(特に千尋)
参、極力、委員会には参加する(法事理由禁止)
肆、虚偽の報告はしない
伍、秀人に関する事は、些細な事もすぐ共有する
これを、侵した者、即切腹!である。
「何にしても・・クラスにいる時は千尋に任せるしかないわ。昼休みは私が責任を持って、誰も近寄らせない!」
みちるが目に光を宿し、ギラギラし出す。
「帰りだけじゃなくて、行きも私張り付く!!ダメだよもう!一人の時間作ってあげなきゃとか言ってられない!」
同上。
「毎朝、おにぎり用意してるの私だって気付いてんのかな・・。もう!!今日から一緒に寝る!朝まで!」
「何言ってんの・・掟忘れてないよね・・。じゃあそう言う事で。もし、私ひとりに手に負えない様なら連絡するから!」
友紀も千尋も同上。
「秀人は私達、四人の誰かのものよ!!頑張ろう!」
おー!!!!
かくして、その存在が明るみになった(非公認)山城秀人攻略委員会!!彼女達四人の戦いは、今、始まった!!
・・のか?
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