鈍感な俺だけど恋できますか

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 昼休み。奈々はたくさんの女子に、守られるように食堂へ向かって行った。まるでお姫様を守る近衛兵みたいな・・。やはり、女の本能で自分では到底敵わない子には、無意識で従ってしまうものなのかもしれない。  でも、奈々が連れて行かれる時に、こっちをチラッとみて笑ったような・・。気のせいか!気のせいだよなぁ!まさかぁ!そんな事!よーし!!腹減ったぞ!行くか俺も!  「今日はと・・牛ヒレカツor牛メンチカツだと!」  カレーライスだ。大盛り。福神漬けたっぷり。ちなみに俺は、福神漬けがあれば白飯を食える派だ。福神漬けヒエラルキーの頂上に君臨する自信があるくらいに、福神漬けが大好きだ。今、何回福神漬けって言ったかな。  いつもの席に・・やっぱいたか。何なんだあいつは。何故、当たり前のように食うのを待ってんだ。 「あ!きたきた!早くー!お腹空いた!」 「きたきたじゃねーって。先に食えよ。ついでに友達と、ここから50m離れた席で食えよ」 「ほんとっ意地悪!さっ食べよー!頂きまーす」  まぁ・・なんつうか。こいつは多分、かなりモテるだろうし、俺なんかと付き合ってるって誤解されるのは嫌じゃないのか?その辺がよくわからん。 「なぁ。何で俺と一緒に飯食うの?」  東城の今日のチョイスはヒレカツ定食ごはん大だ。そのヒレカツを食べ、もぐもぐさせ、ゆっくり飲みこんで、一息ついてから言った。 「し、仕方ないから!だ、だって!私が一緒に食べてあげなきゃ、山城ぼ、ぼ、ぼっちだし!」  そう言うと、ごはんをバクバク食べ出した。なんか焦ってる?なんだ突然。 「そうか。ぼっちとか余計なお世話だ。つか、もっとゆっくり噛んで食え。誰も取らないから」 「な、な、何言ってんの??や、優しいじゃん・・」 え?どの辺が? 「でも。いっぱい食う子っていいよな。一緒に飯食うなら、東城みたいな子がいいのは確かだな」 え!?何!?なんか箸と茶碗落としたよ!? 「何やってんだよ!ちょ待ってろ。箸とフキン貰ってくるから」 ったく!面倒くさいやつだ! 「山城に・・初めて褒められた・・」  昼飯後の授業ってやる意味あんのかなと考えている。眠気と戦うのに身体中で戦力を費やしているのに、俺の脳には勉強に割く気力も体力もない。  羽山は、休み時間の度に、違う女子グループに連れ去られ、トイレに連行されている。何故、女子とは連れションしたがるのだろう。一人で行くと呪われたりするのか?  帰りもホームルームが終わった瞬間、歓迎会に行こうと楽しそうに、近衛兵が盛り上がっていた。羽山はそうでもなさげに見えたが。あれは断れないよなぁ・・面倒くせーよ女子。 「俺も帰るか」  席を立ち、ドアに向かって開いた瞬間、目の前に奈々がいた。 「秀人くん!また明日ね!」  そう言うと、笑顔で手を振ってモブ近衛女子の待つ群れに小走りで駆けて行った。 「ま、ま、また・・明日!」  はぁ・・奈々可愛いなぁ・・。もっと話してーよぉ。一緒に帰りてーよぉ。駅で会ったから、もしかしたら電車に乗ってたのかも・・。全然、気付かなかったが。もしそうなら、明日の朝!一緒に! 「ひーでーと!!もう!!秀人!!」 「・・なんだ。お前か」 「お前はないでしょ!待っててあげたのに!」 「待っててと言ったことなど、一度足りとも無い」 「酷いー!泣くぞ!ガン泣きするぞ!」 「あー泣け泣け。泣いてスッキリしろ」 ・・あれ。ほんとに?泣くの?なんで! 「うぐっ・・ひっ・・秀人の・・秀人の・・」 「あー!待て!悪かった!泣くなぁ泣くな!わかったから!ありがとう待っててくれて!」 「ぐすっ・・ほんと?そう思ってる?」  くっ・・。こいつ、やっぱ普通にしてたら超可愛いんだよな・・。魔が刺したとはいえ、一瞬、俺のサクセスラブロマンスの、メインヒロインだと思わせられた破壊力は持ってやがる。 「ほ、ほんと。ほら、行くぞ!」 「わーい!ひーでとっ!」 「馬鹿!くっつくな!離れて歩け!」 「いいじゃん!こうやって下校したかったでしょ?」 「したくねーよ!鬱陶しい!」 「また泣くぞ!今度はほんとに泣くから!」 「あーーー!っんと面倒くせーーー!!」 「さっきお前って言ったでしょ!女の子にお前って」 「何だよ!」 「名前呼んで!凛って!」 「呼ばねーよ!離れろって!」 「はやくー!!りーんって!」 あの二人またやってる・・ ほんとラブラブだよね・・ バカップル・・ 「ああああああ!誰か助けてーーー!」
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