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ただ、先ずは文句の前にバルサム・サンフラワー姫が執務室の床に叩きつけた事で砕け散った珊瑚のランプを、室内に常備している箒と塵取りで丁寧に掃除をして片づけ始めた。
塵取りから、普段のごみ箱とは違う麻袋詰めて(所謂瀬戸物扱いだったようだ)、「さてどうしようか」という頃には、バルサム姫も流石に大声で泣くのはおさまっていたが、まだ泣き過ぎでえずいていたそうだが(多分、所謂「ひっく、ひっく」となっている状態に思われる)副官の青年武官であるユンフォ殿に「ごめんなさい、ありがとう」と一言告げてくれたという。
で、誰にも聞かれてはいないが、やはり盛大に泣いていただけあって、緑色の瞳の眼元は紅くなっているし、淑女だけあって化粧もしているが、それだけ泣いてもいれば落ちてもいる。
だが、ユンフォ殿から化粧直しをしてきたらどうだと、家族でもない淑女に提案するのは無粋の一言に尽きる。
状況的に主は留守の宰相の執務室に、来客というよりも資料の閲覧などに、第三者が訪れるという可能性が否定も出来なかった。
万が一にでもその時の状況を第三者にちらりとでも見られたのなら、在らぬ疑いに背鰭に尾鰭を増設してつけられ、王宮中に水面下に広げられそうなのが容易に想像が現在の俺にも出来るというものだ。
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