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すると、まるで俺の考えを拾い読んでいたみたいに、こう言ったのは悪気がないのが一番質が悪いんだよ、と口元をへの字にして呆れかえった調子ではっきりと坊主頭は口にする。
確かに質が悪いとは俺も少しは思えた。
そして、これまでアングレカム・パドリックという存在を追いかけていた、バルサム姫もきっとその事は判っていた筈だと思う。
そこから考えたのなら、多分、参謀や宰相としては優秀だとしても"一途な想いを想いを寄せられ続けられている殿方"として、質も悪い事はこれまで散々やって来た筈でもあった。
それでも、年齢が年の離れた妹位に大切にしか想われていないと解って、慕っている相手にセンスのない贈り物をされたとしても、他の同性に対して公平に相手にしないというのなら、そこはバルサム姫も我慢できたのだろう(せざるえなかった、という見方もできるが)。
けれども、そういった大切に思っている妹位にしか思われていないにしても、まるで誤魔化しとも、気遣いにも思われるような完璧すぎる、ただアングレカム・パドリックの気持ちが一欠けらもない贈り物は、バルサム姫の逆鱗に触れてしまった。
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