ウサギの賢者と新人兵士のアルスくん 特典sample6

219/224

216人が本棚に入れています
本棚に追加
/224ページ
すると、まるで俺の考えを拾い読んでいたみたいに、こう言ったのは悪気がないのが一番(たち)が悪いんだよ、と口元をへの字にして呆れかえった調子ではっきりと坊主頭(ロハンジ)は口にする。 確かに(たち)が悪いとは俺も少しは思えた。 そして、これまでアングレカム・パドリックという存在を追いかけていた、バルサム姫もきっとその事は判っていた筈だと思う。 そこから考えたのなら、多分、参謀や宰相としては優秀だとしても"一途な想いを想いを寄せられ続けられている殿方"として、(たち)も悪い事はこれまで散々やって来た筈でもあった。 それでも、年齢が年の離れた妹位に大切にしか想われていないと解って、慕っている相手にセンスのない贈り物をされたとしても、他の同性に対して公平に相手にしないというのなら、そこはバルサム姫も我慢できたのだろう(せざるえなかった、という見方もできるが)。 けれども、そういった大切に思っている妹位にしか思われていないにしても、まるで誤魔化しとも、気遣いにも思われるような完璧すぎる、ただアングレカム・パドリックの気持ちが一欠(ひとか)けらもない贈り物は、バルサム姫の逆鱗に触れてしまった。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

216人が本棚に入れています
本棚に追加