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いや、多分、気持ちがないわけではなかっただろうけれども、その気持ちはバルサム姫が最も望んではいない気遣いであり、その代わりするにしても、一番して欲しくもない相手で内容だったのだろう。
質が悪いだなんて、言葉で語るなら生ぬるいものかもしれない。
それはバルサム姫の行動に一番巧く表現出来ていたと思う。
で、そういった出来事が"アングレカム・パドリック卿とバルサム姫がくっつく為の前の出来事として起こった"のは判った。
俺だって一応学府で修めてはいる。
だから近代史では、この国の宰相であったアングレカム・パドリック卿が南国の2年の出張から戻った後に、国王の姪の成人の誕生祝で求婚して、結婚している結末は判っているんだ。
けれども、こんだけ話しを聞かされて、そこからいったいどうしたというのが、甚だ疑問になってしまっている。
勿論、副官であった青年時代のユンフォ・クロッカス卿が、上司でもあるけれども年の近い妹の様に思っていたバルサム姫の気持ちを傷つけてしまった事を叱責して、それを反省して、昔から好意を寄せられていたから、成人したから求婚……なんて、都合の良い事が起こってはいるんだが、素直に受け入れられねえ。
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