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プロローグ:ミホせんせい、参上!
三月──。
すっきりとした青空に、子どもたちの元気な声が響く。
「まてまてぇーっ!」
その中で、ひときわ元気に走り回る女の人がいた。
彼女の名前はミホせんせい……!
日本某所。
ありふれているけれど、平和な町の中にある、ほのぼの幼稚園。
ミホせんせいは、この幼稚園の先生だ。
ミホせんせいが大袈裟な身振りで追いかけると、空色のスモック姿の子どもたちが、きゃぁっと楽しそうな声を上げて散り散りに逃げていく。
まだ肌寒い三月とはいえ、たくさん走ったので身体はポカポカだ。
と、一人の男の子がバランスを崩して派手に転んだ。
「ケータくん、大丈夫!?」
ミホせんせいに抱え起こされたケータは、ちょっと得意げに鼻を擦った。
「へいきだよ! これくらい」
「すごい! 泣かなかったね!」
ミホせんせいは、ケータも含めた年少さんのクラスを受け持っている。終業式まで数日。このクラスもあとちょっとで終わりだ。
みんなの成長を嬉しく思いつつ、少し寂しくなってしまうミホせんせいだった。
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