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「…あの子はもう半年以上、一歩も外に出ていませんでした」
こらえきれぬ嗚咽と共に母親はそう語った。
亮一は深夜コンビニへと買い物に行き、道端でたむろしていた見知らぬ若い男たちに暴行を受けた。
殴られ、蹴られ、体より心に深い傷を残し、以来外出することを異常に恐れるようになった。
からかいまじりに追いかけた同級生たちは、その事情を知らなかった。
追いついた途端、亮一が胸を押さえて倒れたものだから、介抱しながら救急車を呼んだ。
追われる恐怖が心臓を止めたのかもしれないと耳にして、彼らは一様にうなだれている。
遺体の顔が不思議と穏やかだったことが、せめてもの救いだった。
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