宵闇と蜂蜜

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カチコチと音を立てながら、時計は、針を進めていく。 無慈悲にも、運命の歯車は止まらない。時計は、時を刻み続ける。 たった5分間だけ、昼と夜の隙間で、彼女は彼を見つめ続ける。じっと、ひたすらに。 時計が針を進める度に、開いた扉に近づいていく。 開かれた奈落の扉に堕ちて行くまでの隙間で、今日も彼女は切望する。 触られなくてもいい。 触れられなくてもいい。 言葉を交わす必要なんて、無い。 ただ、望むのは、ひとつだけ。 “――……貴方の瞳に、私を映して” カチコチと、時計が時を刻みながら鳴く。 振り子が揺れる音がする。 カチリ、と小さな扉が閉まる。彼女の姿は真の闇の中へと消えていく。 眩しい薔薇色の世界で笑う彼は、宵闇に包まれてそっと姿を消した深い蒼の彼女を、 未だ――……知らない。 21a87073-143e-4564-ba90-24956c8241e9
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