えそらごと

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えそらごと

夢を見ていた。 懐かしい懐かしい、昔のゆめを。 夢は願えば叶うんだって、 いつまでも今と同じ日々が続いてくれるんだって、 馬鹿みたいに信じ続けていた、昔のゆめ。 昔描いた絵空事も、将来の夢も、 もう全部、黒に塗れて見えないや。 …『ずっと一緒にいよう』なんて、馬鹿みたいだ。 スケッチブックに描かれた『幸せ』を、 乱暴につかんだ黒の絵の具で塗りつぶす。 八つ当たりするみたいに乱雑に、 『幸せ』を漆黒の『絶望』へとかえていく。 これでいい。 これで、いい、はずなのに 『『今のお前』は、あいつらに迷惑しかかけないんだよ』 忘れられない、霞むことのない 『嫌かァ? ──なら、変わればいい。それ、簡単だろう?』 ──お前、いつも演じてるもんなぁ。
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