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不快に思われていたのかもしれない。
というか、今やセクハラは、男性から女性へだけのものではない。
女性から男性へもありうるし、同性でも注意しなければいけない、と言われているのに!
「あの…ご不快でしたら、失礼を。」
「いや?なぜか教えてほしい。」
言えない!
性的な目であなたを見てましたなんて、言えないからっ!!
「俯いてしまうのはなぜ?」
答えたくないからです!!!
「あまり俺の前で、そんな風にうつむかないでほしいんだけど。」
どうしよう、きっと怒らせていたんだ。
そんな風に思ったら、ますます、詩乃は顔なんて上げることはできない。
「月蔵さん…。」
そんな風に呼ばないでください。
どきどきする…。
「俺ね…、」
彼の顔が、後ろから、詩乃の耳元に近づく。
耳元に息がかかって、どうしようもないくらいに詩乃の鼓動が激しくなった。
低くて、甘い声が、詩乃の耳をかすめる。
「うなじフェチなんだ…。」
はい…??
「うな…じ…?」
「そう…。月蔵さんのうなじ…たまらない…。首元は細過ぎてもいけなくて、俺は色白の方が好みなんだけど。特に、今日みたいに、緩くアップにしている時の、しどけなく首元にかかる、髪が…すごく、いい…。」
それは、たまに視線を感じるなあとは思ったけど、思ったけども、それは上司として、部下を見守ってくれているのかなあって思ったから…!
それが、うなじ?!
うなじって…いや、見過ぎだから!!
社長の私の首元に注がれる視線が熱い。
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