そういう目で見ています。

4/6
前へ
/6ページ
次へ
不快に思われていたのかもしれない。 というか、今やセクハラは、男性から女性へだけのものではない。 女性から男性へもありうるし、同性でも注意しなければいけない、と言われているのに! 「あの…ご不快でしたら、失礼を。」 「いや?なぜか教えてほしい。」 言えない! 性的な目であなたを見てましたなんて、言えないからっ!! 「俯いてしまうのはなぜ?」 答えたくないからです!!! 「あまり俺の前で、そんな風にうつむかないでほしいんだけど。」 どうしよう、きっと怒らせていたんだ。 そんな風に思ったら、ますます、詩乃は顔なんて上げることはできない。 「月蔵さん…。」 そんな風に呼ばないでください。 どきどきする…。 「俺ね…、」 彼の顔が、後ろから、詩乃の耳元に近づく。 耳元に息がかかって、どうしようもないくらいに詩乃の鼓動が激しくなった。 低くて、甘い声が、詩乃の耳をかすめる。 「うなじフェチなんだ…。」 はい…?? 「うな…じ…?」 「そう…。月蔵さんのうなじ…たまらない…。首元は細過ぎてもいけなくて、俺は色白の方が好みなんだけど。特に、今日みたいに、緩くアップにしている時の、しどけなく首元にかかる、髪が…すごく、いい…。」 それは、たまに視線を感じるなあとは思ったけど、思ったけども、それは上司として、部下を見守ってくれているのかなあって思ったから…! それが、うなじ?! うなじって…いや、見過ぎだから!! 社長の私の首元に注がれる視線が熱い。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1166人が本棚に入れています
本棚に追加