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至るところに梁がひしめき、頭をぶつけないように這ったまま進んでいく。
誰も立ち入っていないことは一目瞭然だった。埃が溜まり、そこら中に蜘蛛の巣が張っていた。
嫌悪感から戻ろうかと思い至ったその時、前方に一点だけ光の見える箇所を見つける。急く気持ちを抑えつつ、ゆっくりと歩伏前進していく。着物が汚れているのに気づくも、今はどうでも良かった。
警戒しつつ、慎重に体を進めていく。下手に動いて物音を立てでもしたら、下の部屋の者に気づかれてしまうだろう。
苦心の末、何とか辿り着く。板が少しだけ剥がれ、どうやらそこから光が漏れていたようだった。
僕の部屋からの距離にして、そこまで離れていないところを見ると、隣の部屋に住む天宮 青志という男の部屋だと思われた。
天宮くんは同い年の二十二歳で、成績も良く眉目秀麗な青年だ。ただ、彼は極度の人嫌いなようで、あまり人と話をしている姿を見たことがない。どうやら相当な根暗な人間なのだろう。
顔を合わせた時に挨拶をしようにも、頭を下げるだけで部屋に入っていってしまうのが常だった。学校も同じ、部屋も隣同士にもかかわらず、僕の中で彼の生態は実に謎めいていた。
そんな天宮くんの秘密を垣間見れるのだと思うと、苦労したかいがあるというものだ。
これは幸いとばかりに早速板に顔をつけ、片目で穴を覗き込む。なんとか部屋の様子を眺めようと、視線を彷徨わせる。
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