2/3
前へ
/14ページ
次へ
「私ったら。薄紅さんと美露を間違えちゃって」 「気にしないで。私たち三人は背格好が似ているのだから。私でも間違えたもの」  笑顔で薄紅が近づいた。そしてその右手には光るものがあった。薄紅はそのまま走り寄り短刀で暁を刺した。  ぐらり、と体が揺れ暁は倒れ込んだ。  痛みが腹から全身に広がってゆく。 「きゃー!」  参拝に来ていた女が悲鳴を上げた。  他にも複数、走る足音が聞こえた。 「どう、して」 「本当は美露じゃなくて貴女を殺そうと思ってたのよ。なのに間違えちゃって」  薄紅はケラケラと笑い出した。 「貴女の客の壱夜様。私の故郷の幼馴染なの。私が売られる時、必ず私を探し出してくれるって、こうやって約束をしたの」  薄紅は自身の小指と小指を絡ませた。  暁は異様な薄紅から目を離すことが出来なかった。 「なのに、なのに。……あんたさえ居なければ」  薄紅は両眼を見開いた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加