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「私ったら。薄紅さんと美露を間違えちゃって」
「気にしないで。私たち三人は背格好が似ているのだから。私でも間違えたもの」
笑顔で薄紅が近づいた。そしてその右手には光るものがあった。薄紅はそのまま走り寄り短刀で暁を刺した。
ぐらり、と体が揺れ暁は倒れ込んだ。
痛みが腹から全身に広がってゆく。
「きゃー!」
参拝に来ていた女が悲鳴を上げた。
他にも複数、走る足音が聞こえた。
「どう、して」
「本当は美露じゃなくて貴女を殺そうと思ってたのよ。なのに間違えちゃって」
薄紅はケラケラと笑い出した。
「貴女の客の壱夜様。私の故郷の幼馴染なの。私が売られる時、必ず私を探し出してくれるって、こうやって約束をしたの」
薄紅は自身の小指と小指を絡ませた。
暁は異様な薄紅から目を離すことが出来なかった。
「なのに、なのに。……あんたさえ居なければ」
薄紅は両眼を見開いた。
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