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女王の国
女王・エリザードが統治する王国は『女王国』とも呼ばれ、彼女が絶対的な支配者だった。
エリザードが「良い」と言えば流行り、反対に「駄目」と言えば廃れていく。
彼女だけが『絶対』だ。
五十路に手が届く歳にも関わらず、彼女は自分の欲に忠実で――数多の男たちを侍らせては蹂躙していた。
エリザードの一番の被害者は、彼女の妹・ソフィアとその夫・カルタス。そして、2人の息子のエミリオだろう。
母娘ほどの歳の差がある姉妹。エリザードはソフィアを厄介者扱いし、国を追い出した。
追い出された先の隣国でソフィアはカルタスと結婚し、ひとり息子をもうける。
その噂が耳に入り、女王エリザードは激昂した。
何だかんだと理由をつけてソフィア夫婦を呼びつけると、女王である姉に逆らえないソフィアはカルタスとエミリオを連れて登城した。
エリザードは三人まとめて処刑するつもりだったが、ソフィアに連れ添うカルタスを見て気が変わる。
彼がエリザード好みの青年だっからだ。
「私のモノになりなさい」
エリザードはカルタスに命じた。
それは、ソフィアを捨てて自分に尽くせと言うことだ。
「やめて、やめて、姉様!」
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