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「蓮くん!」
バタバタと駆け寄って来る数人の女子生徒が俺の周りを取り囲んだ。
「こら、先生って呼びなさい」
「えー、蓮くんは蓮くんじゃん」
「篠原先生、ね?」
こんなことを言っても実際篠原先生、なんて呼ぶ生徒は最近じゃほとんどいない。
「今のカッコよかった!」
「んふふ、何が?」
「やっぱ蓮くんが担任だったらよかったのになー。そしたらあたし毎日喜んで学校来るのに」
「毎日こんなに騒がれんの俺ヤダよ」
「あー、ひどい!」
放課後、美術室に向かう途中にたまにこうして見つかると引きとめられてしまってなかなか進めない。
それが嫌だってわけじゃない。
ただ、2年前だったらすぐにでも美術室に戻りたかったはず。俺に会いに来るあの子を待つために。
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