それぞれの、道

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「俺美術室戻んないと、美術部の子達待ってるから」 「いいなー、あたしも美術部に入ればよかった。そしたら放課後ずっと蓮くんと一緒にいれるのに」 「あたしも!」 「だーから、俺こんな風に騒がれんのヤダって言ってんでしょ?」 どちらかといえば話しかけてくるのは元気な子が多くて、正直毎日違う子に声をかけられるから誰が誰か分からない。 まだ新学期が始まってそんなに経ってないから余計に。 「じゃあ、俺行くね」 「ばいばい、蓮くん!」 やっと解放してくれた。 後ろでキャーキャー言う女子生徒たちの声を聞くと、今年は元気な子がほんとに多いな、なんて思った。 あ、でも1年生じゃなかったな。 ってことは2年?3年? 何で覚えらんねぇんだろうなー。 あの子のことはコンビニで一目見たときから顔も名札に書いてあった名前もちゃんと覚えることができたのに。
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