それぞれの、道

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…茉央ちゃんが卒業して、3度目の入学式をこの前終えた。 あれからもう2年以上過ぎた。 それなのに、美術室のドアが開くと無意識に彼女の姿を探してしまう。 後ろ姿が似た子を見つけると、声をかけてしまいそうになる。 …いるわけないのに。 何でかな。誰を見ても茉央ちゃん以上に可愛いとは思えないし、茉央ちゃん以上に愛おしいとも思えないんだ。 みんなが優しくて綺麗だって言う吉野先生も、茉央ちゃんと比べるとどうしても好きになれない。 最初は比べるなんて失礼だって思っていたけど、もうほとんど無意識にそうしてしまう。 何度も気持ちを伝えてくれる吉野先生を茉央ちゃんと比べては、違いを見つけてますます落ち込む。 そんなことを考えて、改めて俺最低だなって思ったりもする。 …でも、ほんとにダメなんだ。 ほんとに、2年以上経った今でも気を抜いたら無意識に考えてしまう。
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