それぞれの、道

13/23
前へ
/311ページ
次へ
やっぱり卒業式のあの日、ダメだって分かってても行けばよかった。 行かないのが正解だと思った。 だって多分、茉央ちゃんは「今までありがとうございました」なんて言って加地くんのとこに行くと思ったから。 それならいっそ会わずに終わってしまう方が楽だと思ったんだ。 …多分、間違えたな。 笑った顔も拗ねた顔も泣きそうなのを我慢してる顔も、近くで見てたのはたった数ヶ月だったけど、それでも目に焼き付いていつまでたっても離れない。 だったらどうして手放した。 なんて、責められても何も言い返せない。バカなことをしたと自分でも思う。 大事なことは何も言えなかった。言わずに伝わるわけないのに。 だからこんな終わり方しか出来なかった。 こんな風に気持ちを引きずってしまった。
/311ページ

最初のコメントを投稿しよう!

110人が本棚に入れています
本棚に追加