それぞれの、道

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「いや?」 「嫌じゃないよ!記念日だもん!あたしも2人でいたい」 慌ててそう言うと、優真はちょっとビックリして、その後嬉しそうに笑った。 大きな手があたしの頭をまた撫でる。 この手が、好きだった。 「そ、よかった」 優真は大学に入ってから一人暮らしを始めた。この大学の近くで。 元々高校もそんなに近くなかったみたいで、大学も遠いからって理由でそうしたらしい。 もう行き慣れたけど、最初は何か理由をつけて行くのを断ってた。 「何借りたんだっけ?」 「あー、恋愛ものじゃなかった?あとホラーもあったかも。」 「ホラー借りたのは優真でしょ?」 「そうだっけ?」 行きたくなかったわけじゃないけど、あの気持ちのまま優真の家に行って、そんな雰囲気になるのは嫌だったから。 きちんと優真を見れるようになってから、って、自分の中で勝手に決めてた。 「泊まってく?」 だから、優真がこんな質問をするようになったのもごく最近のことだった。
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