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ミカエルロス
運転免許を取るために田舎の方まで合宿へ来ていた私と大学の友人聡子はそこで奇妙な体験をすることになる。
「聡子、そろそろ彼氏欲しいよね?」
「また、その話? あたしにはミカエルがいるから浮気はしないわよ」
ミカエルとは聡子が大好きな今、人気の若手俳優だ。
普通の日常を送るの中では決して出会うことがないというのに聡子の心はミカエルに奪われていた。
「私は少し欲しいかな」
聡子はスマホを握ってあたしの言葉に涙を流す。
「どうしたの? 涙なんて流して!」
気になった私は聡子にティッシュを渡す。
聡子のスマホにはニュースが映っていた。
そこにある文字が羅列されている。
「ミカエル結婚!」
この文字の影響でミカエルロスになった聡子は合宿の間、気力が抜けていた。
合宿の最終日。私は夢を見た。
そこはパーティー会場で目の前にはミカエルと奥さんになった女性。
聡子は何度もミカエルと叫んだが彼には全く届かなかった。
目を覚ますと隣の枕は濡れていた。
その日、聡子に話をすると彼女も同じ夢を見ていた。
ミカエルが居なくなった大きな穴を塞いでくれる誰かいい人が出てくることを私は思って止まなかった。
ー完ー
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