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私の名前は『麗(れい)』、新宿のキャバクラで働いていて、年齢は今年で27歳になる。
高校を卒業して居酒屋でバイトしていたけれど、20歳を過ぎた頃からキャバクラで働くようになって7年目だ。
私は特別美人でもなくおしゃべりも上手ではないため指名が多いほうではなく、店内での売り上げもそこそこだ。
でも私は、無理に指名を増やそうとは思っていなくて、純粋にお客様に楽しんでいただければ良いと思っている。
まぁ、お客様が楽しければ私も楽しいわけで、今の仕事は比較的自分に合っているのではないかと思っている。
仕事柄、私に言い寄ってくるお客様もいるけれど、私はあまり深入りはせずに、お客様を怒らせないようにしながらうまくかわしている。
そんなお客様の中に1人だけ、私を指名し続けてくれる私と同じ年齢の『侑李(ゆうり)』さんという男性会社員の常連さんがいる。
侑李さんは、よく同伴をしてくれるお客様で、新宿で待ち合わせをして居酒屋で飲んでからお店に同伴で入ってくれる。
侑李さんがはじめてお店に来たのは週末金曜日で、その時はもちろん指名するキャストはいなくてフリーで来店したので、30分交代でキャストが対応した。
お店が開店するとすぐに来店した侑李さんは、基本1時間のところ2時間延長したので6人のキャストが対応したが、私は6人目のキャストとして対応することになった。
侑李さんは少し緊張していたようだったけれど、私が侑李さんの仕事の話や趣味の話を聞いて、できるだけ侑李さんの話に合わせるようにしたら、侑李さんは少しずつ笑顔になって楽しんでくれているような感じがした。
この日侑李さんは23時過ぎに店を出たけれど、翌週の週末金曜日にも来店してくれて、その時は私を指名してくれた。
私が、
「ご指名ありがとうございます。
私でよろしかったのですか?」
と聞くと侑李さんが、
「先週この店で麗さんと話しているときが、一番楽しかった。」
と笑顔で答えてくれた。
その侑李さんの笑顔から、私は侑李さんは先週本当に楽しんでくれたんだと思って、私もとても嬉しく感じた。
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