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どうしようかと少し迷ったけれど、私は率直に侑李さんに質問してみようと思った。
「侑李さんは何故私と結婚できないのですか?」
侑李さんは少し沈黙したけれど、静かに答えてくれた。
「実は僕は女なんだよ!
今の僕は性転換手術していない『おなべ』の状態なんだけどね!」
私は一瞬何が起きたのだろうかと思って動揺した。
この私の童謡に気付いたのか侑李さんが、
「隠すつもりはなかったんだけれど、このことを話したら麗さんから嫌われるのではないかと思って、なかなか話せなかった。」
と正直な気持ちを話してくれた。
侑李さんは正直で誠実な人だということは、2年間のお付き合いで私は十分知っている。
だからこの話を聞いても私は侑李さんのことを嫌いだなんてこれっぽっちも思わなかった。
「私は侑李さんのこと嫌いになったりしませんよ!」
私がこう話すと侑李さんはほっとしたような表情で少し笑顔になった。
侑李さんがここまで正直に話してくれたことで、私も侑李さんに話さなければならない隠しごとがある。
でも私は話すことを躊躇していた。
この隠しごとを話すと逆に私が侑李さんから嫌われると思ったからだ。
私は思い悩んで言葉を出すことができなくなった。
「どうした、麗さん!
やっぱり僕の話はショックだったかな?」
侑李さんが私を気遣って話しかけてくれたことに対し、私はやはり侑李さんに正直に話すべきだと決心した。
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