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俺が笑う代わりに、祥太の顔色が沈んでいく。抱えた膝をじっと見つめる様子に首を傾げた。
黙って待っていると、祥太はようやく重い口を開いた。
「誰かがレギュラー外されるよね」
「ほれは、実力がある奴がレギュラーやろ」
「でも他所から来た人に急に取られたら……」
「祥太?」
祥太の体が見る見るうちに震えだす。歯もガチガチ鳴って、息が上がる。過呼吸なんて知らない俺はどうしていいか分からず、とにかく苦しそうな祥太の背を摩った。
「どうしたんだよ、おい!」
俺の叫び声と同時に、波から急に背びれが飛び出して、イルカのリベロが姿を現した。ツルンと祥太の膝の上に飛び乗って来ると、「キュイ」と一鳴きした。
「…………!?」
「リベロ……」
俺が泣いてた時と同じように。
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