夕日が沈む前に

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「『嘘つき祥太』とか、『俺が試合に参加して負けて、いい気味って思ってんだろ』とか、言われて……もう、部活に出る勇気なくて」  ぼろぼろと溢れる大粒の涙を、必死に手のひらで拭う祥太。嗚咽の間に話してくれた事情に、俺は腹の底が熱くなった。 「だっ……、だから、ここでだって……もう部活でバレーなんて、する資格ないよ」  押し出された気持ちが溢れ出す。でもそれは間違ってる。 「俺たちなちごわ!」  俺は中学生にしては大きい手で祥太の右肩を掴んだ。祥太は過去から引き戻されてハッと顔を上げた。 「言ったやろ!? 祥太がここにおりたいって思えるように、リベロに会わせてんぞ! 俺たちなお前、必要ねん! 東京に帰らんでいいわいや! ほんな奴らのとこ、帰らんでいいわいや! 」  こっちの13分が尽きる前に、俺は必死になって怒鳴った。 ーー祥太は、暖まる為に引っ越して来てんて! 「お前は、人の為に遠慮したんや! でもって、相手はみんな自分のことしか考えてねえんやろ! ほんな奴らのことなんか気にすんなま!」  イルカは、人の気持ちが分かる不思議な生き物だ。  リベロは祥太のこと、元気にしようって思ってくれた。だから来てくれた。どんだけ祥太がつらいか、感じ取ってくれた。  だから、 ーーひとりで震えんなま。   リベロと会うた時の顔が、お前の本当の顔なんやろ。 「ここにおりゃ、何度だって連れてってやっさけ!」
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