寒がりの転校生

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晴海(はるみ)、ギリギリセーフ」 「おう」  息を切らしながら、隣の吉田に挨拶して席に着く。同時にチャイムが鳴った。2年1組の30人に満たない教室は、いつもより騒がしい。 「何騒いどるん?」 「二年に東京から男子転校生が来るって。田中の情報」 「まじ」  女子ってどこから情報得てくるんだろう。キャアキャア騒ぐ声が耳障りだ。二年は二クラスしかないから、うちか隣に来るってことになる。 「バランス的には、うちやな」  吉田が腕を組んでしたり顔で言った。 「どういう意味け」 「男子が少ないけ」  ちらりと瀬名の後ろ姿を盗み見ると、長い髪を一つに結んだ彼女は、女子の輪の中には入らずに頬杖をついていた。 「先生きた!」  女子のリーダーグループの一人が叫び、みんな蜘蛛の子を散らすかのように席に着く。  廊下を歩く担任の後ろに、見慣れない男子生徒がくっついて歩いている。それを窓越しに見た女子たちは、顔を見合わせて歓声を上げた。 「やっぱな」  吉田はしたり顔だった。
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