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俺と栞は同い歳の幼馴染だ。
幼稚園に入る前に、この戸建に家族で引っ越してきた。
栞の家は俺の家の隣だったが、建蔽率が異常に高いこの地域で庭なんてものは殆ど存在せず、俺の部屋の窓を開けると栞の部屋の窓がほぼ重なって存在している、という状況だった。
この環境は俺にとって特別なモノになった。
少なくとも俺にとっては、大袈裟でも何でもなく確実に人生を左右するレベルだった。
幼稚園時代から園バスは一緒、小学校時代は登校も一緒、母親同士はとても仲が良く、家族ぐるみで付き合い、お互い一人っ子なのも手伝って、栞とは、お飯事からゲームまで、いつも一緒に遊んできた。
まるで『兄妹』のように育ってきたのだ。
だから、俺と栞は小中高とずっと一緒だったが、大学の学部だけは流石に離れた。
栞は文系、俺は理系へと進んだこともあり、まず顔を合わせる機会が極端に減り、次第に疎遠になった。
専門に入ると俺は研究室に泊まり込むことも多くなったので、当然のことだった。
そして、栞が先に大学を卒業し、一足先に社会人になった。
俺が浪人したり留年したわけでは無い。
大学院へと進んだだけだ。
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