side Shiori …1…

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中学時代に状況は一変する。 「もう栞の家でご飯、食べない」 彼はいきなり、そう告げた。 その時からだ。 彼が私と目を合わせなくなったのは……。 中3になり、志望校は県内で一番の進学校にする、と聞いた時の、あの悲壮感。 同じ学校に通いたくて、私は泣きながら必死に勉強した。 そして、何とか合格した。 しかし、高校時代も状況は変わらず、登校時に会うだけで、凪君はやはり私と目を合わせようともしなかった。 大学は超有名大学の理系学部に進む、と母親から聞いた時の、あの絶望感。 理系科目が壊滅的だった私は、努力してもどうにもならないことを、あの時、初めて悟った。 ただ、凪君の志望校が私立だった為、文系科目をひたすら頑張り、学部は違っても、辛うじて同じ大学に進学することが出来た。 学士課程で卒業せずに修士課程に進む、と聞いた時の、あの焦燥感。 凪君の学科は男子比率の非常に高かった為、同じ研究室内に女子はいない、と聞いて、ただ只管(ひたすら)、安堵した。 そんな私のことを(凪君)は知らないし、知ろうともしない。 「ここまで、なのかなぁ……」 晴天が目に染みる。 背後から「おはよ」と声を掛けられ、振り返ると同期の谷澤(さき)が立っていた。 咲は私を見るなり、ぎょっとした表情を浮かべる。 「栞、朝から何、泣きそうになってるの?」 「な、凪君が……」 「栞の幼馴染くん?」 コクンと頷く。 私は先週末、見てしまったのだ。
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