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先週の日曜日。
私は高校時代の友人、楓と一緒にランチしようと駅前で待ち合わせをしていた。
突然、楓に袖をくいっと引っ張られる。
「……アレ、誰だっけ?理系クラスで眼鏡かけてた、栞と同中の……」
「凪君?倉田凪」
「そう、倉田君!名前、今、初めて知ったわ。栞、名前で呼んでた?」
「呼んでない。高校時代、あまり接点無かったから。彼、幼馴染なの。凪君がどうかした?」
高校時代、凪君が露骨に私のことを避けていたのを思い出し、視線を落とした。
「アレ違う?超絶美人連れてーー」
「えっ!?ど、どこ!?」
楓が指差す方向を慌てて見ると、確かに凪君が物凄く綺麗な女の人と一緒に居る。
2人仲良く話しながらスーパーの袋を持って――。
そして、駅前の高層マンションへ一緒に入っていったのだ。
「……」
「へぇ……。彼も隅に置けないね。あんな美人、捕まえちゃって。栞、知ってた?」
頭が真っ白になった状態で、ぶんぶんと勢いよく首を左右に振る。
「幸せそうだったね、倉田君。結婚してるの?」
言葉も無く、ただただ首を振るしか出来ない。
「じゃ、同棲?」
「……してない。彼、実家……」
「彼女の家がココなのかも。……あ、予約した時間、もうすぐだわ。デザートが凄く美味しくてねーー」
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