side Nagi …1…

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side Nagi …1…

「ねぇ、凪君。どうしたの?朝から何だか怖い顔してるんだけど……」 「はぁ!?こ、怖い顔だなんて、かなり心外だが。俺、そんなこと一度も言われたこと……な、い……」  ヒールを履いていても20㎝は身長差があるだろう俺を見上げ、様子を窺うように俺の顔をジッと覗き込む栞。 「……」  グイグイと詰め寄られ、思わず(ひる)んだ。  くりくりとした二重(まぶた)の栞の大きな瞳が、俺の目の前でカッと更に見開く。 (……こ、こえぇぇ――) むしろ怖いのはお前の方だ、と言いたい。 「……ねぇ、凪君。まさか、私に『隠し事』なんてしてないよ、ね?」 にっこりと笑って俺のことを見詰める栞。 「し、してない、してない。してる訳が無いっ!……あっ!今日、天気悪くなるらしーぞ。栞、傘、持ったか?」 俺は全てを見通してしまいそうな栞の綺麗な瞳から慌てて視線を外し、指を差し空を見上げる。 視界に入るのは、見事な快晴。 「……」 「私には雲一つ無い綺麗な空に見ーー」 「夕方から天気が急変してゲリラ豪雨になるんだよっ!お天気お姉さんが言ってたっ!」 「……」 誤魔化せた、だろうか……? チラッと隣に並んで歩いている栞の方へと目をやると疑いの眼差しで、ジッとこっちを凝視している。 誤魔化せた気が全然しない。 ドキドキと胸が激しく高鳴り出した。
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