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「おっせぇよ!」
拓海がいつもの人懐っこい笑顔で手を振っている。
「早く来いよ!走れ~っ!」
長身の雅樹は腕をぐるぐる回して二人を急かしている。
雅樹は拓海とは対照的に田舎街には似つかわないいわゆるイケメン、そして物静か。
「なら、あんた達が花火買って来れば良かったんじゃないの!」
菜月が口をとがらせ文句を言うと、凛が被せる様に
「はい!一人800円!」
「え~っ!俺金ないっす!」
とおどけながら拓海が返事。
凛が睨みながら
「バイトしてんのに?」
「俺、バイト代は使わない!夢貯金!」
「出たよ!何時もの夢貯金!なら拓海だけ線香花火ね!」
菜月が呆れながらからかっている。
そのやり取りを雅樹は微笑みながら見守っている。
何処か寂しげな表情で…
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