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「何でだ?」
「行きたいからですよ」
「誰と行くんだよ」
「山南さんと藤堂君と一番隊組長と永倉先生と斎藤殿」
「意外な面子だな」
面子に関して特に気にしないのか、平然とした様子で落ちた沢庵を拾って口に運んだ。何個か沢庵を口に運んでお茶を飲んだ後、「行っていいぞ」と許可を下した。
「意外とあっさりなのだな」
「いい顔しておいた方が落としやすいだろ」
「ほう。確かに許可は得ましたぞ。男に二言はないからな?あ、あと後ほど買い出しで外に出る」
「はいはい。ほら行けよ」
土方が手を仰いで追い出すような仕草を出したので、櫻島は盆を下げて部屋を出た。
夕刻。各々山南の出した条件をこなした櫻島達は、隊士部屋の前で集まった。
「進捗報告!」
「一君を賄賂で釣り、稽古に励みました!」
「よし!藤堂さんは」
「女中さんの手伝いである掃除洗濯は完了しました!」
「よし!私は鬼の副長の説得に成功し、庭掃除をしたので、残り四つです。あとは外の買い出しと晩酌で終わりですね」
沖田がそっと手を挙げた。
「この後巡回があります」
「わかりました。そうしたら、私と藤堂さんで買い出しに参りましょう」
「御意」
藤堂が頷いた。櫻島は山南から預かった財布を藤堂に渡し、その足で屯所を出た。
山南の注文は、消耗品、甘味、酒。先に甘味を購入しなければ店が閉まってしまうため、櫻島達は山南の行きつけである甘味処へ行き、団子を数本購入した。
次に消耗品である半紙と墨を問屋で購入し、最後に酒屋へ向かったが、道中誰かが喧嘩をしている声が聞こえたのに気付いた藤堂が、櫻島の肩を軽く叩いて引き止めた。
「三木さん。何か怪しくないですか?」
「喧嘩ですね…少し様子を見て見ますか」
二人は木の陰に隠れて、怒声のする方へ耳を傾けた。すると言い合いが激化し、いよいよ刀を抜く音が聞こえた頃には仲裁のために飛び出し、藤堂が叫んだ。
「あなた方はここで何をしている!刀を抜くのはやめなさい!」
いきなり飛び出してきたため、櫻島側にいる侍が反射的に刀を下ろした。
櫻島は片足を後ろに動かして横に向いて刀を避け、手刀で侍の後ろ首を打って気絶させた。
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