一章 赤ちゃんは魔王様

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一章 赤ちゃんは魔王様

オレは金木 連夜(かなき れんや)だ。 日本でちょっと赤ちゃん好きの普通の高校生をしていた。 そう、していたんだ。 まさか学校の帰り道の足元に魔方陣が現れて異世界へ、なんてそんなベタな事が起きるとは思わなかったんだ。 アニメや小説の中だけの話だと思ってたよ。 本当にあるんだなこんなこと、、、。 しかもオレが召喚したのは勇者としてとかではなく魔王の世話係りとして魔族達に召喚されたんだぜ? 意味分からなくねぇ? そしてオレはオレを召喚した魔族(かなり美形だぜ)の一人に魔王の部屋の前まで連れてこられ何の説明もなく魔王の部屋に押し込んだ。 酷くね? 普通は説明するよね? 魔王の世話係りにしようとしてる奴に何の説明もしないってなくね? 「ん」 誰かの声(絶対魔王だけど)が聞こえた。 (あれ?なんか可愛らしい声のような?) 「ん、、んぁ?」 さすがにオレが居ることはバレてるだろうから違和感がする声の主(魔王)が居るであろう後ろに振り向く。 (え?) 「う?あ~、、、んぁ、、あ~」 「赤ちゃん?」 そこにはオレの方え嬉しそうに笑いながら手を伸ばす黒い衣装の中でオムツを履いているであろう赤ちゃんがいた。 (え?魔王って赤ちゃん?) 「あ~、う?う、う、」 「おっと、良い子だなぁ~!一人でここに居たのか~?泣かなくて良い子」 そう言いながらオレは魔王(たぶん)を抱き上げ頭を優しく撫でた。 (、、、魔王の世話係りってもしかして子守りってことか?) 「う~、、、ん、、すぴー」 「よしよし、オネンねしようなぁ?」 優しく体を不幸揺らしながら赤ん坊を眠らせてから赤ん坊が最初に居たベッドに寝かせる。 そして静かに部屋を出た。 (あ、鍵はかかってねぇんだ) 「魔王様はお休みになられたか?」 「えっと、、、その魔王、、様って赤ん坊の事ですか?」 「そうだ。魔王様はお生まれになってから一年ほどしかたっていない」 「え?さっきの赤ん坊一歳なんですか?どう見ても」 「人間と魔族の成長を一緒にするな」 「えっと、なら何歳になれば人間の一歳くらいになるんですか?」 「魔王様だったらそうだな、、、あと二年か三年くらいでそのくらいになるだろう」 つまり最低でもあと二年は歩けない赤ん坊って事か。 「あと、なんでオレを召喚して魔王様の世話係りにしたんですか?ここにはたくさん人、、、魔族が居そうですけど?」 「、、、魔王様は気難しい方でな」 「え?(赤ん坊なのに気難しい?)」 「我々が近づいただけで泣き、機嫌が悪いので抱き上げようとしてもグズって泣くのだ」 「あ~(つまり誰にも懐かない、と)」 「魔王様が泣いたりグズったりするとその強大な魔力で無意識に魔法を使いまくるのだ」 「そうですか(手がつけられないって事か)」 「みんな困ってしまってな。魔王様もまだ赤子だ。誰かが世話をしない死んでしまうと思い、ならば魔王様が気に入る者を召喚すれば良いということになってお前を喚んだんだ。魔王様はお前が側に居ても泣かなかっただろう?それに眠らせる事も出来たみたいだな?召喚は成功したということだろう」 「あ~、なるほど」 つまり、魔王様は気難しい(好き嫌いが激しい)から誰かが側にいると泣く(安心出来なくて泣く)からそれなら魔王様が気に入る(オレ)を召喚しようとして無事成功したと。 (オレはただの赤ちゃん大好きなだけの普通の高校生なんだけどなぁ)
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