追憶1一出会い一

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『…次は葉桜、葉桜でございます…』 車内に停車駅を告げるアナウンスが流れ、電車は徐々に速度をゆるめながら駅構内に入り、がくんと揺れて停車した。 葉桜駅に次の面接場所となる喫茶店がある。 俺は葉桜駅で降りる乗客何人かに混じって電車を降りた。 そのままホームの途中で設置された階段から改札の方へと下りる。 そして来た時に通した切符を再び改札に通す。 (走ればギリギリ面接に間に合うな) 俺は腕時計を確認しながら胸中に呟き、駆けようとしたその時だった。 予想外の出来事が起こった。 「きゃっ…!」 腕時計からすぐに目を離さなかったせいで、俺はすぐ前にいた人にぶつかってしまったのである。 この悲鳴は女性のものだ。 悲鳴と同時に俺は尻餅をついてしまい、彼女の籠バッグと俺の鞄の中身が辺りにはげしく散らばった。 「ってて…」 尻餅をつくなんて無様だ。 やっぱり少しずつでも運動をしないと…とバカな事を考えつつ顔をあげると、やはり悲鳴の主は若い女性だった。 男だったら気持ち悪いが。 女性は長い亜麻色の髪を腰まで垂らし、凛として少し気の強そうな印象を受けるけど、どこか憂いを帯びた瞳を宿していた。 今思えば、彼女の瞳がすごく印象的だった。
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