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第四章:三姉妹を巡って
「航! 翔! 暫くぶりだね!」
永南がさりげなく私の背を押して振り向かせる。
「賢さん、お久し振りです」
黒と藍色の長袍をそれぞれ着た、小さな蒼白い顔と手足の長い華奢な体つきで一見して兄弟と分かる少年二人と櫻霞が振り返った。
「お姐さんもご快気おめでとうございます」
幾分背丈が高く大人びた顔つきから兄と分かる、藍色の地の胸に鶴の刺繍を施した中華服の少年が深々と頭を下げた。
すると、こちらは黒地に鮮やかな朱雀を刺繍した服を纏った弟も黙って軽やかに一礼する。
「どうもありがとうございます」
この兄弟は恐らくは年子かせいぜい二つ違い、どちらも元の世界なら中学生くらいだろう。
三妹こと私の従妹は大きな目でじっと同年輩の二人の姿を見詰めている。
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