今日も黄昏時の彼女はブルーモーメントを見つめる

3/7
前へ
/7ページ
次へ
 実は僕は彼女に惚れていた。初めてこの病院に転職してきたその日に、彼女の持っている雰囲気に一目惚れしたのだ。  その当時、彼女には同棲している恋人がいた。その事もあり、僕の心の中に彼女への想いを封印しておいた。そんな中、親しくなり、兄妹のように信頼してくれるようになった頃、彼女が恋人と別れたと聞いた。僕の心の中にある想いは変わらずにあったけれど、もう彼女の中の僕の認識は兄ちゃんだった。 「この後、予約入ってるから、早く帰れよ。で、どこにでも行ってこいよ」  分かっている、妬きもちだ。それが男としてなのか、兄としてなのかは分からないけれど。でもその反面、幸せになって欲しい、という思いも同じくらいあるのが困ったもんだ。 「うん、そうする。じゃあ、またね〜」  僕の気持ちを知らずに、楽しそうに操作室を出て行く彼女。 「この前さ、二人でキャンプ行ってきた」 「彼の家に初めて行ったんだ」 「見てみて、お揃いのピアス」 「えっへっへ、さっきセックスしてきちゃった」 「今度、スノボ行くんだ、温泉宿に泊まるの」 「お揃いの指輪買ったんだ」 「最近は彼氏の家に半同棲してるんだ」 「彼と婚約したんだ」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加