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実は僕は彼女に惚れていた。初めてこの病院に転職してきたその日に、彼女の持っている雰囲気に一目惚れしたのだ。
その当時、彼女には同棲している恋人がいた。その事もあり、僕の心の中に彼女への想いを封印しておいた。そんな中、親しくなり、兄妹のように信頼してくれるようになった頃、彼女が恋人と別れたと聞いた。僕の心の中にある想いは変わらずにあったけれど、もう彼女の中の僕の認識は兄ちゃんだった。
「この後、予約入ってるから、早く帰れよ。で、どこにでも行ってこいよ」
分かっている、妬きもちだ。それが男としてなのか、兄としてなのかは分からないけれど。でもその反面、幸せになって欲しい、という思いも同じくらいあるのが困ったもんだ。
「うん、そうする。じゃあ、またね〜」
僕の気持ちを知らずに、楽しそうに操作室を出て行く彼女。
「この前さ、二人でキャンプ行ってきた」
「彼の家に初めて行ったんだ」
「見てみて、お揃いのピアス」
「えっへっへ、さっきセックスしてきちゃった」
「今度、スノボ行くんだ、温泉宿に泊まるの」
「お揃いの指輪買ったんだ」
「最近は彼氏の家に半同棲してるんだ」
「彼と婚約したんだ」
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