今日も黄昏時の彼女はブルーモーメントを見つめる

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 彼氏が出来たと聞いてから一年後、彼女から報告された、婚約。 「そっか、おめでとう」 「うん、ありがとう」  本当に幸せそうな彼女を見て、心から幸せになって欲しいと思った。僕の心の中の想いをやっと昇華できた気がした。彼女の兄ちゃんとして祝えるようになったんだと思った。  しばらくして、 「ねえ、お兄ちゃん、最近お姉ちゃんが彼氏と上手く行ってないみたいで」  もう一人の妹の作業療法士から、そんな話を聞いた。婚約の話の後、彼女は結婚準備のため夜勤のあるうちの病院を退職していた。顔を合わせる事も減り、電話やメールもしばらくしていなかったので、久々に聞く彼女の話だった。 「えっ、そうなの?」 「うん、この前、お姉ちゃんと会ったらすごく表情暗くて。聞いてみたら、彼氏の束縛がひどくて精神的に参ってるみたいなの」 「そんなひどいのか?」 「スマホのチェックや外出していても、どこで何をしているとか報告しないといけないし、彼の両親からもただの働き手みたいに扱われてこき使われてて、性欲の吐口と労働力としか見てくれていないように感じてるんだって」 「ほんとか、それ」 「うん。彼氏にも一度会ったけれど、なんでこんな人を選んだんだろうって思うくらい酷かったよ。一緒に飲みに行った時、私も胸揉まれたたもの」 「そりゃ、最低だな。で、アイツは大丈夫なのか」 「お兄ちゃんには言わないでって言われてたんだけど、お姉ちゃん、精神科に通って薬もらってるって言ってた」 「そっか、わかった。今度、電話してみるよ」
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