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オートロックになっているエントランスに暗証番号を通して、開いた自動ドアから真っすぐ進んだところにあるエレベーターに乗り込んだ。
3階で下りていくつか並んだ同じようなドアの前を通りすぎ、音楽プレーヤーの電源を切るとヘッドフォンを外して部屋のドアを開ける。
「ただいま。」
「おかえり!!」
明るい声と共にぱたぱたと走り寄ってくるのんきな姿。
もう入浴を済ませたらしく、気の抜けた部屋着だから尚更そののほほんさが際立っていた。
「朔くん朔くん!ね、見てこれ!!」
「どうしたの。」
もうすぐ30歳になると言うのに、相変わらずほわほわして落ち着かない雅己をほんとはいつも可愛いって思ってんのに、素直になれない自分はどうしてもいつもの呆れたような声を出してしまう。
まぁでも俺がどんだけ塩対応しようがそんなことはお構い無しの雅己だ。
笑顔を絶やさないまま玄関脇に寄せてあった大きな発泡スチロールの箱をどん、と俺の目の前に置いた。
「…何これ。」
「さっき届いたんだよ。見てて、凄いから。」
じゃんっと小さく寒い効果音を口にしながら雅己が箱の蓋を開ける。
中には、カニやら魚やら貝やら、さらに干物やら珍味やらなんやらの海産物がたくさんたくさん詰まってあった。
微かに磯の香りが鼻を擽る。
「どうしたの、これ。」
言いながら、送り主には確かな心当たりがあった。
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