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まさかの最上階、所謂スイートルーム。
もう突っ込む気力すら起こらなかった。
ホテルの部屋ってこんなに広いんだなぁ…という小学生みたいな感想しか出ない。
僕の知ってるホテルの部屋とはちょっと、いやかなり違う。
「改めて洸が僕とは別世界の住民だということを思い知りました。」
「何?そんな淋しいこと言わないで。」
「なんなのこのテーブルに広がる美味しそうな料理の数々。魔法か。」
「ルームサービスとった。せっかくだから、周りに気兼ねなく楽しみたいでしょ?」
「…セレブって都市伝説みたいな存在かと思ってたけどほんとにいるんだな…。」
「人をツチノコみたいに言わないの。」
「セレブもツチノコ知ってるんだ…。」
暫くツチノコ談義で盛り上がっていたところに部屋のインターフォンが鳴る。
「あ、来た。」
途端にツチノコのおかげで忘れていたはずの不安と緊張が沸き上がってきた。
いや、大丈夫、飲むだけだから。
飲み会だから。
緊張の面持ちで呪文のように自分に言い聞かせている僕のことなどお見通しなのだろう。
僕を横目に笑いながら洸は彼らを出迎えに行ったのだった。
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