調理場A-1

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調理場A-1

 客を呼ぶには、まず腕のある料理人が必要だ。そこで連れ戻すべきは調理場で働いていたAである。  彼は30代の既婚者で、子供もまだ幼い。調理の専門学校に通っていたので腕は確かだ。  彼は短時間で作れる料理の点数が多いので、混雑時でも彼が一人いれば厨房が回せる。  しかし彼は自我が強く、いくら言い聞かせても私の指示になかなか従わなかった。店長の私も、副店長の妻も彼の対応には苦労した。  だが、今はそのような事を言っていられない。Aを呼び戻すべく電話を掛けた。  しかし電話に出ない。どういう事だろうか?共に働いていた頃、彼はすぐに電話に出ていたはずなのに。  留守電機能もないようなので、折り返しの電話を待つことにした。  Aのことだから、そのうち折り返しの電話が来るのではないだろうか。
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