失った店員を求めて

フロアB-1

　料理人がいくら頑張っても、それを運ぶ者がいなければ、客に料理は届かない。そのためにはフロアの人間も必要だ。

　フロアの者はただ単に料理を運ぶだけではない。店のメニューを覚え、オススメが何かを把握し、注文を間違えずに運ぶ頭脳が不可欠だ。

　その点、店員Bは優れていた。愛想も良く、常連からも非常に可愛がられた。

　ただ、混雑時やシフト変更への対応が悪く、幾度も注意した。今ではその事を懐かしく思う。

　彼女は当時、20代のフリーターだった。コロナ禍での就職は厳しいと聞いている。就職していなければ、店に戻ってくるのではないか。

　そこでBに電話した。しかし、彼女も電話に出ない。どうしたのだろうか？

　そこでひとつ思い出した。確かLINEがあったはずだ。LINEから最近の様子を伺い、復帰の打診をすれば良いのではないか？

　そこでLINEから様子伺いのメッセージを送ったが、既読にならない。LINEでの連絡が多いので埋もれているのだろうか？

　こちらも反応を待つことにした。