2020年

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2020年

 あの時期はまさに悪夢でしかなかった。これから送別会、花見、歓迎会などが控えていた時期に、コロナの直撃を受けた。  相次ぐ赤い×印で染まる予約台帳、調理されることのない材料。  店員、従業員には良く対応していたと自負している。居酒屋だけに「飲みニケーション」を実践し、彼らとの関係を築いていった。  仕事上での時折の厳しさは仕方がない。彼らは当然、その事を理解していたはずだ。  3月の時点で妻と娘以外の店員を解雇し、家族だけの最小人数で乗り切ることを決意した。  「また縁があれば共に働こう」  彼らにはそう伝えたはずであった。しかし、3年後の彼らの反応は非常に薄い。  自分で言うのも何だが、私は約束は守る男だ。彼らは私との約束を忘れてしまったのだろうか。
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