失った店員を求めて

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失った店員を求めて

 コロナはこの居酒屋に大きなダメージを残した。店が休業に追い込まれ、収益が途絶えた。  共に店を営む親族は雇用調整助成金で何とか食いつなげたものの、親族以外の貴重な店員達を失った。  あれから3年。雇用調整助成金には頼れない。店をフル回転させる必要があるものの、マンパワーが足りない。  だから面接で店員を募集しているが、コロナで休業するイメージが先行するせいか、応募が少ない。  更に、採用してもかつての店員のレベルには程遠く、結局辞めてもらい、改めて採用活動するループに追われている。  やはり、このループを抜け出すには元店員を呼び戻すしかないようだ。  彼らとの関係は良好であった。私達の関係を壊したのはコロナであった。  彼らは解雇を言い渡された時、私の事を一瞬恨んだかもしれない。しかし、あの当時はそうするしかなかった。  あれから3年の時が経った。今となっては彼らも私の苦渋の選択を理解してくれるはすだ。  そして、彼らとの関係を再構築することが、店の再興への近道でもある。  そこで私は、彼らを呼び戻すべく動き出した。  
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