第1話 星空学園高等学校

3/47
前へ
/114ページ
次へ
「いつまでも悩んでないで、早く見たほうが楽になれるよ? あ、私が見てあげる!」  そう言いながらベットから勢いよく起き上がると、愛理の持っている紙を右手に掴んで、取ったと声を上げた。 「お姉ちゃんが見ないのなら、私が見てあげるからね!」  無邪気な笑顔がムカツクと愛理は思いながら、私が見るからいいと奏を部屋の中で追いかける。すると、初めからすぐ見ればいいのにとクスクスと小さく笑って結果の封筒を手渡す奏であった。 「見るからね……」  そう言って小さな洋型封筒を開けると、そこには合格通知書と入学案内と書いてある小さな紙が入っていた。その紙を見た愛理は、静かに涙を流すとその場にへたり込んでしまう。突然へたり込んだ愛理を見た奏は、大丈夫なのとすぐに愛理を身体を支えた。 「不合格だったの!? お姉ちゃんならすぐに別の学校で魔法学べるって!」  その奏の言葉に、愛理は違うのと返した。愛理は持っている紙を奏に見せるとその紙に書いてある言葉を見て奏も驚きの声を上げた。 「やったねお姉ちゃん! これで念願の魔法を本格的に学べるよ!」  奏が喜ぶのも無理がなかった。愛理は小学校で初めて魔法の基礎を学ぶと、その奇跡にも近い事象に愛理はすごく感動をしていた。中学校ではより基本的な魔法の事柄を学ぶと、高位な魔法を学びたいことや魔法を使って人に喜んでもらいたいと考えるようになっていた。  高校受験の時期になると、愛理は魔法を学べる日本一の学校を調べると星空学園高等学校が出てきた。この学園は日本で高名な魔法学者に教えてもらえることや、魔法の研究施設も併設されていて、魔法の研究も授業に組み込まれている。そして、魔法の実践的な学習も取り入れていて武器を用いた魔法の運用なども教えてくれることになっている。  愛理は魔法を学び続けるためや夢を叶えるために星空学園高等学校に通うために、塾に通ったり独学で魔法の勉強もして筆記や実技試験に挑んできた。その結果の集大成である合格通知をもらって、愛理は嬉しくて涙が止まらなかった。それを見ていた奏はお姉ちゃんおめでとうと再度言い、これで夢が叶うねと愛理を抱きしめた。 「ありがとう奏……これで私は魔法を学べる!」  そう決意をすると、ドアを叩く音が聞こえた。何かあったのと女性の声がすると、愛理がママと呼んだ。ママと呼ばれた女性は黒羽楓であり、 楓は愛理と奏に顔が似ていて愛理を大人にしたような雰囲気であった。そして身長は愛理ほどであり、背中の届くほどの長さの黒髪をして前髪は眉毛の上の位置で切り揃えていた。 「ママ見て! 私合格した!」  そう言って母親に合格通知書を見せると、自分が喜ぶ以上に楓は喜んでくれた。愛理に抱き着いた楓は、これで通えるわねと言い、今日は豪華な晩御飯にするわねと言う。既に夜七時を回っているものの、晩御飯を作るのを途中でやめて服を着替えてすぐさま家を出ていった。家を出た楓を見送った二人は、リビングにてテレビを付けて談笑をし始めた。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加