4人が本棚に入れています
本棚に追加
「あと、人間たちの設定した雪女の話では、姉さんは、顔が綺麗で若いという理由で巳之吉の命を助けてあげたというストーリーになっているけど、あれは…、まあ…、あながち間違いではない。イケメンだろうと、ブ男だろうと姉さんに殺害する意図はなかったんだけど、何て言うか、簡単にいうと、姉さんは面食いだった。それに惚れやすかった。姉さんは、それを女の直感と呼んでいたけど、私にはそういう直感はないし、姉さんだけの直感?いや性格?いや病気?そういうものなんだと思う。そして、その直感というやつは大方、トラブルのもとになるケースが多かった」
ユキの口調からすると、お姉さんのそういう手癖は今も健在なのだろう。ため息交じりに話してくれた。いわゆる美人なのに男運に恵まれない女性というやつだ。
「まあでも、お姉さんは、巳之吉と結婚して10人も子供を作ったわけで、失踪するまでは、家庭円満で幸せっだったと聞いていますが」
幹夫がユキに気を使って、明るい話題に切り替えようとするが、ユキは悲しい表情で首を横に振った。
最初のコメントを投稿しよう!