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その後、彼女の松田聖子リスペクトは3分程続いたが、彼女のなかでは、今も日本中で松田聖子がフィーバーしているという認識だった。約40年間のギャップを感じる。
「ところで何を飲んでるの?甘い香りがするけど」
「コーンポタージュスープです」
「いい香り。私にもちょうだい」
「まだお湯があるので今、作ります」
幹夫がスープの粉末を震えながらコップに入れる。
「あなた、もしかして、私のことが怖いの?」
怖いに決まっているだろ。あんた絶対人間じゃない!雪山にそんな薄着で、裸足でいるなんて。妖怪。
スープの粉末にお湯を注ぎながら、心の中でそんな悪態をつくが、怒らせたら殺害されるかもしれないという恐怖のせいで、口からは「いいえ。怖いだなんて。滅相もございません。すぐコーンポタージュスープを用意するので、今しばらくお待ちください」と普段口にしない言葉が出てくる。
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